
あけましておめでとうございます。
昨年は25周年ということで、たくさんのお祝いのお言葉やカード、お品をいただき、本当にありがとうございました。
昨年、編集部宛に感想のお手紙やカード、お祝いのお品などを送ってくださった皆様には、年賀状をお送りしています。投函が遅かったので到着が遅れるかもしれませんが、届いたら受け取ってやってくださいね。
そして、お心あたりの方で届かなかった方はご連絡ください。よろしくお願いします。
昨年は後半体調不良でスケジュールがグダグダになってしまったので、今年はその仕切り直しからです。
免許返納やお墓、宗教問題のことなど、親との関係がうまくいかなくて、それがものすごいストレスになったみたいで。
今年は海外旅行も再開したいので、心身ともにすこやかに過ごせるよう頑張ります。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
華藤えれな
新年前に配信が始まったこちらもどうぞよろしくお願いします
→ 真珠の涙
それからコミックスが決定しました。応援ありがとうございます💕
こちらもよろしくお願いします
さて、ここからは、スペースの代わりを。
昨年は、スペースするとかしないとか、詐欺のようなツイートをくりかえしていましたが、いただいたご質問の回答、下記に書いたのでよかったらみてください😊
「25年続けられた秘訣は?」「プロットは得意ですか?」「一番好きな国は?」「海外のびっくりエピソードを知りたい」などなど、メールやお手紙でもご質問いただいているのですが、こちらはまた次回に。
今回はTwitterでいただいたご質問のみですが、ご興味のある方はどうぞ。
ご質問
bonjour_tristesseさんからのご質問
華藤先生の作品といえば涎が垂れそうなお食事🤤中でも先生がリピする(またはご自身で作る)ほどお好きなものがあれば教えてください。
またこの作品のこのシーンは実際の経験から盛り込んだところなので、是非読んで欲しいというのを逆にご紹介いただきたいです
回答
私がリピするほど大好きなお食事は、
ジョージアのハチャプリ、ヒンガリ
ロシアのピロシキ、壷焼きシチュー、ペリメニ
ウクライナのボルシチ
イタリアのピッツァマルゲリータ、ジェノベーゼ、ボロネーゼ、カンノーリ
中華の酢豚、餃子、坦々麺、
アルゼンチンのエンパナーダ
チェコのグラーシュ
オーストリアのメランジュ、アプフェルシュトローデル
それから精進料理、おうどん、おそば、春野菜の天ぷら
でも本当の大好物は……実は、いなり寿司とタケノコです。
自分で作るもので一番得意なのは、白味噌のお味噌汁です😊
好きなお酒は、
ジョージアワイン、ボルドーワイン、リモンチェッロ、
リオハのワイン、ヴィーニョベルデ、果実酒、アルゼンチンワイン
そして次のご質問、
実際の経験ですか……
これから書く予定の海外旅行のnoteと被るかもしれませんし、ほぼ自分が見たもの経験したものを作品の中に大量に盛り込んでいますが、ここが書きたくてこの話を思いついたという体験を一つだけピックアップしますね。
今年配信再開予定の「神に弄ばれた恋」のラストシーン、
闘牛士が巡業先に早朝に到着し、ホテルのオーナーに扉を開けてもらうシーンがあるのですが、そこは、1997年9月に自分が本当に見たものをそのまま書きました。
トレドの郊外の名もない小さな街の街道沿いのホテルでの単なるワンシーンですが。
実際の経験はこちら
↓
1997年9月24日か25日、
私、あの日は北部のコレージャという街に闘牛を見に行ったんですよね。
一日一本しかバスがなくて……辿り着くのが大変だった話は割愛し、
この日はとても素晴らしい闘牛を見て大感動したのを覚えています。
生まれて初めて、闘牛士から、牛の耳をもらって大喜び。
闘牛士さんは、闘牛のあと、着替えて、マスコミ対応し、現地にあるFCの交流会に顔を出してみんなとご飯を食べ、そしてそのまま車を運転して、次の巡業地へと、夜通し、数時間かけて車を運転して向かいました。
実は
そのとき、私、ずっと一緒にいたのです。ご好意で車に乗せてくれて。
超緊張しましたけど。
断片的に今も記憶している私の脳内の中身を羅列すれば、
何もないスペインの夜の大地の暗さ、
頭上の驚くほど多い星のまたたきが美しい、
ああ、この辺りは、星の降る里と呼ばれていたエステーリャの近くだ、
時々、抜けていく深夜の街のカテドラルのあかりがものさみしい、
誰も歩いていない深夜の村々、
ソリアという街だ、知ってる
グアダラハラのあたりだ、
あ、窓の向こうにマドリードの空港が見える
マドリードを抜けていく
またひたすら真っ暗な道が続く
そろそろ明るくなってきた
薄靄の向こうに街が見えてきた
夜明けだ
そして車がホテルの前に到着して、
その後、見たシーンをそのまま原稿に書きました。
最後の七行です。
私の感情はなく、私が見たもの聞いた言葉をそのままただ七行で書いたのですが、
そのとき、闘牛士の圧倒的な孤独に触れた気がして……ラストシーンはこれだと決めたのを今でもはっきりと覚えています。
あ、全然関係ないですけど、前日のコレージャという街、チェーザレ・ボルジアの腹心のドン・ミケロットの出身地なんですよね
🌸
墨谷佐和先生からのご質問
闘牛や舞台からインスパイアされることをうかがいたいです😊あと、作品に出てくる中でイチオシのお菓子を!
回答
インスパイア……どこからどう……と具体的にすぐに思いつかないのですが、
例えば柚香光さんの「はいからさんが通る」を見て、れいちゃんが作り上げた少尉というキャラの優しさや優雅なところに自分が強く惹かれるものがあるときは、私自身がそうしたキャラをとても書きたいと思っているときだと気づいたり、
れいこさんの「ダルレークの恋」のラッチマンにくらくらしたときは、自分がそうした色気のある男性を描きたいときだと気づいたり、
舞台との出会いによって、
改めてその時の自分が描きたいものを発見し、気づかれることがあります。
最近では「ディミトリ」のジャラルッディーン様にくらくらしました。
闘牛は、1996年から長く見てきたせいか、闘牛場での闘牛そのものよりも、闘牛士としての人生、生き方、闘牛士とは何なのか、その周りの人間関係の変遷、栄枯盛衰……そうしたものからリアルな感情を揺さぶられることが多いです。
作中に出てくるイチオシのお菓子……難しいですね。
どれもこれも好きなものばかりなので、でも特におすすめは、最新作「この美しい愛を捧げたい」のくるくるクレープでしょうか。くるくるクレープは私が名付けたもので、本物は、パラチンカという名前で、サワークリームとバラジャムを挟んで食べるのが好きです。
あ、あと、何度も登場させていますが、トルコのバクラヴァ、大好物です。
🌸
ゆりの菜櫻先生からのご質問
いつも旅へ出掛けたり、ショーや観劇をされておりますが、一体、執筆はいつされるのか笑
そしてとても筆が速い気がしているのですが、どのぐらいのスピードで執筆されているのか、スーパーウーマンの裏側を🙌
あと私的初の獣人物「黒豹の帝王と砂漠の生贄」のエピソードがありましたらお聞きしたいです
回答
ええええっ、全然スーパーじゃないですよ、原稿、遅いです。
ただ……他に何もしていないだけです。
執筆は……多分、旅行と観劇て睡眠以外の時間にしている気がしますw
サメのように……書いていないと死ぬので、歩いているときも電車に乗っているときもお風呂に入っているときも脳内で何か書いています。大事なときでもいつも全然違うことばかり考えているので、高校時代、卒業時に国語の先生から「あなたが私の授業中にしていたことが将来役に立たなかったら殴るよ」というお手紙をもらいました。多分、いろいろ創作して脳内で別世界に行ってたんだと思います😅
でも一回寝ると忘れてしまって……「なんでちゃんとメモっておかないのですかー」と担当さんによく叱られてますけど、数ヶ月後に急に思い出したりもします。
「黒豹の帝王〜」は、スペイン南部を元闘牛士と旅していたとき、彼の娘が間違ってカゴにいっぱい集めてしまった大量のスカラベが可哀想なので、一緒に海岸に行って、夜の砂浜に放したときにイメージが湧きました。
ちょうど海戦のあったトラファルガー岬でした。
他にもいっぱいスカラベがいて、夜の砂浜で星のように煌めいていて、
そのとき、その元闘牛士が言っていたんですよ。
これは、トラファルガーの海戦で死んだ兵士たちの魂だって言われている、と。
そのとき、なぜかあの話が一気に脳内で出来上がったんです。
全然、もふもふと関係ないですがw
もふもふよりスカラベ重視でできてしまった話かも……。
🌸
出目金さんからのご質問
華藤先生😍チェコ3部作の誕生秘話が知りたいです。多くの作品が一気に物語へ引き込まれ、一緒に体験したような気分になるので大好きです。ジャガー神の愛妻教育もどうやって生まれたのか?気になります。先生の取材メモの書き方も興味があります。スペースは保有作品一覧とメモ用意して参加します‼️
回答
チェコ3部作の誕生秘話ですかー。2010年12月、大寒波の中、プラハに行ったときに思いつきました。
いつもよくやる遊び(適当に路面電車に乗って適当に降りて適当に歩く)を一人でしていたのですが、よくわからない郊外の森とかを歩いたりしているうちにあまりの雪とあまりの寒さに死にそうになり、やってきた路面電車に乗って市内に戻ろうとしところ、急に市電が変な方向に曲がりそうだったので、やばい……と慌てて降りて、ちょうど見かけた墓地のある丘を登ってそこで休憩していたんですよ。
ヴィシェフラド墓地でした。
とにかく寒くて少しでも建物の中に入りたくて、公衆のWC(けっこうちゃんとした建物)の扉を開けたら、目の前にいきなり大型犬がいて。
最初はギョッとしましたが、すごくひとなつこい大型犬で、どうやらそのWCを管理しているおばさんの飼い犬みたいで、女子トイレの中をゆるくお散歩していてすごく可愛かったです。
おばさんはトイレの前の小部屋みたいなところでストーブに当たっていました。
おばさんは無口でむすっとしてましたが、建物のあたたかさ、犬の愛らしさにホッとしたあと、元気が出て、そのまま公園でぼんやりしていると、他にも犬を連れている人を見かけ、ああ、ここ、すごく犬と人間とが共存している街なんだという印象が残っていて。
その後、それが忘れられなくて、チェコを舞台にした狼もののイメージがどんどん頭の中で湧いてきて。
大寒波の年で、マイナス15度というとても寒いプラハで思いついたので、作品も冬がメインになってしまいました。
「銀狼の〜」のあと「愛される〜」を書こうと思ったのは、自分の好きな世界に行けたらいいなという願望からです。
ミュシャのスラヴ叙事詩の壁画をイメージモデルにしました。
その後、今度は初夏にプラハに行き、大学の敷地や学校のようなところをうろうろしたり、近郊の骸骨寺院で有名なセドレツ納骨堂に行ったりしているうちに「死神狼〜」の物語が完成しました。
わりと単純ですね。
「ジャガー神の愛妻教育」は、ちょっと変わっているのですが、「レジェンド・オブ・メキシコ」と「フリーダ」のサントラを聴いていたとき、なんか南米の空気感にインスパイアされ、ギリギリの危うい感じを描きたくて作ったお話です。でもジャガーは「京都市動物園」の黒ジャガーのミワちゃんがモデルですw
🌸
🌕 m⃣i⃣y⃣o⃣s⃣h⃣i⃣🕊さんからのご質問
私は本を読むときに映像化されるんですが、先生の紡ぎ出された物語はとても美しい情景が浮かんできます。文章を書くとき、先生自身は映像を浮かべて書かれているのでしょうか?情景を文字として描き出すときに、気をつけていることはありますか?質問とは別に『蒼の王と真珠姫』のエピ聞きたいです
回答
映像、浮かべますよ。翌日に書く内容を前夜に頭のなかで映像にしているときが多いです。だいたい映画のようにひととおり。翌日、それを言葉で形にできなくて四苦八苦して、思った世界にたどりつけないというパターンばかりですが。
ただその映像がすぐにイメージできるよう、各作品ごとに音楽フォルダを作るようにしています。
情景を文字に描きだすとき、気をつけていることは……あまり長くないようにすることです。端的に、どれだけ短い言葉で伝えられるか……なかなかできなくて今も精進中です。
「蒼の王と真珠姫」は、2019年12月、コロナ禍の前に最後に行った欧州の土地への愛とオマージュをこめて作りました。
ベネツィアに初めて行ったのは1994年ですが、そのときからずっとあの海が好きで、この美しい場所、そして美しい海の下にもう一つ世界があったらいいなという気持ちをそのまま素直に描いたのがあのお話です。
あ、あと、ベネツィアの古い路地の仮面屋さんに長靴を履いた猫のマリオネットや仮面が売られていたのですが、2019年12月に行ったとき、その二ヶ月前に旅立った愛犬のソラくんにとても顔が似ている気がして、ソラくんにもう一度会いたいという気持ちからオーロとラーメというキャラを作りました。
たくさんいてくれた方が嬉しいので、双子にして。
二人のあの話し方、とても気に入っているのですが、実は書くときまで何も考えてなくて、私の手が勝手にあんな話し方をパソコンに打ち込んでいたんです。
意図も何もなく、ただ勝手に。
ソラくんが天国から手伝ってくれたのかもしれませんね。
🌸
ひびきさんからのご質問
今更すみません(;_;)意識不明で入院して脳の手術を十度して三途の川の手前から帰ってきました...
「シナプスの柩」が大好きで、今でも物凄く心の支えなのですが...何か少しでも裏話が有りましたらこれ幸いです...
それからえれなちゃんもお身体お大事になさって下さいませ...
回答
手術、お疲れ様です。そんなに何度も。おかえりなさいませ。
そんな大変なあとに、お声をかけていただけてとても嬉しいです。
私の作品が少しでも日常の中で支えのような存在になっていましたらそれほど光栄なことはないです。ありがとうございます。私も体調には気をつけますね。
ひびきさんもご無理なさいませんように🙏
「シナプスの柩」は、今も好きだと思ってくださる方が多い特別な作品です。
こちらは、某文学賞の新人賞に投稿した作品がベースになっていて、1880名くらいの中の上位20名にまで入ったものです。
残念ながら新人賞を受賞するには至りませんでしたが。
BLではなかったので、担当さんに相談し、そこにBL要素を入れてリメイクすることに。
初期の頃なので文章は未熟だし、雑誌に載ったのは二十年以上前なので医療的なことも今と全然違いますし、かなりツッコミどころもあるのはわかっているのですが、それでも、私がずっと書きたいと思っている根源的なテーマがたくさん入っていると思います。
テーマは「再生」とあとがきにも書きましたが、個人的に、私自身、後悔や失敗や黒歴史の多い人生を歩んでいて、やり直したいことがたくさんあって……でも「大丈夫、気づいたこの瞬間からやり直せばいい」と自分に言い聞かせているところも多く……「シナプスの柩」はそんな思いを込め、いくらでもやり直せる、そこからやり直せばいいという祈りのようなものが入っています。
そしてその再生のために主人公の水斗に寄り添ってくれる相手が「樋口先生」なのですが、ただ寄り添うだけでなく、樋口自身も人間的に足りないところが多く、水斗に対して失敗や後悔を抱き、水斗とのやりとりの中で人として成長していくんですよね。
そうすることで水斗の気持ちをより理解できるように。
互いが互いに対して、傷つけあったり傷ついたり大切にしたいと思ったり失敗したり……そんなことを繰り返し、再生し、共生する、それがテーマでしたが、プロットを出したとき、担当さんが「いい話ですね。前後編では書ききれないかもしれないので、3回にしましょう。思う存分書いてください」とおっしゃってくださって、それがとってもその後の執筆の励みになったのを今もはっきり覚えています。
プロット提出時はいつもドキドキなのですが、担当さんがそう言って背中を押してくださるときは、本当にいい作品になると自分も確信して頑張らなければと気持ちが引き締まります。
褒めていただくのは嬉しいのですが、基本的に、作品が完成するまでは、ここが気になる、ここが微妙などと塩対応ではっきりと意見を言っていただいた方が私も振り返ったり考えたりできて、よりいい作品になると思うので、普段は担当さんにはできるだけ厳しい対応をお願いしています。まあ、褒めていただいてもその言葉の裏の、自分のダメなところを探しちゃうんですが。
なので、それを全部お知りになった上で、それでもなお担当さんが褒めてくださったときは、本当にいい作品になりそうなんだーと素直に喜んでいます。だからこそちゃんと書き上げねば……と引き締まった気持ちになりますが。
裏話の一つとしては、
この話の原本を執筆していたとき、私の弟がまだ大学生だったのですが、ちょっとトラブルがあって北海道の大学の寮を追い出されて(本人は自分からでたと言ってますが)、しばらく住むところがなく、車中生活をしていたんですよね。
そのとき、一時的に、弟の荷物をうちに置いていたんですが、北大の面白い本や学生の会報、札幌周辺の観光マップとかがいっぱいあって、つい面白くてむさぼりよんで……作品の舞台を北海道にすることにしました。
その後、ちゃんと取材にも行きましたが、弟の資料がなかったら作品の舞台を北海道にしようと思わなかったかもしれないので、弟がトラブルを起こした大学の寮には大感謝です。ちなみに昨年の四月、その寮も見てきました。
その寮の写真↓


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小塚先生@かやこ🐾さんからのご質問
ひとつの作品というわけではないんですが、お話の舞台はどういった感じで決めるのか、国内外、どんなふうに選んでいるのか、うかがってみたいです!*\(^o^)/*
回答
お話の舞台は、基本的には、今、自分が行きたい、もしくは一番ときめく場所を選んでいます。
たまに
私「次のゆづくんの遠征先、ヘルシンキなんですけど……その周辺もいくのでエストニアも入れて」
担当さん「いいですよ」
私「次のゆづくんの遠征先、イタリアなんですけど……トリノとか……あと帰りにヴェネツィアにもよるのでいいですか?」
担当さん「ご自由に」
私「次のゆづくんの遠征先、ロシアなんですけど……ロシア書いていいですか?」
担当さん「反対したことありますか!!!??」
という流れで決まることもあります。
以上、こんな感じで。
あとお一人、ご質問いただいていたのですが、アカウントが消えてしまっていて、内容がわからないので、すみませんが……今回はここまでで。
ご回答いただきありがとうございます♪見て感じたこと、触れたもの全てが作品の中に息づいていることがとてもよくわかりました。
これからも先生の作品世界の中を旅人として、たくさん巡り歩きたいです。